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仮面城(日文版)-第5章

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「あ、先生、ここへ落ちたんですね」
「ふむ、こんなことだろうと思ったよ」
 金田一耕助はたもとから懐中電燈をとりだすと、穴のなかを眨伽俊Qà韦栅丹纤磨岍‘トルくらい、底にはこんもりと雑草がもりあがっているが、怪物のすがたはどこにも見あたらない。
「せ、先生、これはいったいどうしたんでしょう。ここへ落ちたとして、あいつはそれから、どこへいってしまったんでしょう」
「待て待て、文彦くん、これを見たまえ」
 金田一耕助は懐中電燈で、このから[#「から」に傍点]井戸の壁のいっぽうを照らしたが、見ればそこには一すじの、鉄ばしごがついているではないか。
「あ、先生、それじゃこの井戸は……」
「抜け穴なんだよ。大野老人もお嬢さんの香代子さんも、しじゅうだれかの見張りをうけて、ビクビクしていたといったね。それでこういう抜け穴をつくって、万一のときの用意にそなえておいたにちがいない」
「先生、それじゃこの井戸をおりていけば、あの洋館へいけるんですね」
「そうだろうと思う。さっきの怪物はそれを知っていてもぐりこんだのか、知らずに落っこちたのか知らないけれど、こうしてすがたが見えないところを見ると、抜け穴へもぐりこんだのにちがいない」
 それを聞くと文彦は、なんともいえない強い好奇心と、はげしい冒険心にかりたてられた。ガタガタと武者ぶるいをしながら、
「先生、それじゃぼくたちもいってみましょう。この井戸のなかへもぐってみましょう」
「文彦くん、きみにそれだけの勇気があるかい」
「あります」
「抜け穴のなかに、どのような危険が待っているかわからないぜ」
「だいじょうぶです。ぼく、よく気をつけます」
「よし、それじゃいこう」
 金田一耕助はみずから先に立って、鉄ばしごに足をかけた。文彦もそのあとにつづいた。井戸の底までたどりつくと、そこには雑草がこんもりともりあがっている。しかしそれはただの雑草ではなくて、タケであんだわくの上に、たくみに雑草をはさみこんであるのだった。
「文彦くん、わかったよ。これで井戸のふたをして、人目につかぬようにしてあったんだ」
「あっ、先生、ここに抜け穴の口があります」
「よし、それじゃぼくが先にいくから、きみはあとからついてきたまえ」
 その横穴は高さが一メ去氚毪椁ぁⅳ趣胜扦狻ⅳ沥绀盲壬恧颏幛毪取⒘ⅳ盲撇饯堡毪椁い未螭丹扦ⅳ搿
 金田一耕助は用心ぶかく、懐中電燈で足元を照らしながら、一步一步すすんでいく。文彦はきんちょうのために、全身にビッショリ汗をかきながら、そのあとからつづいていった。おりおり抜け穴の天じょうから、ポトリと冷たいしずくが落ちてきて、文彦をとびあがらせた。
「文彦くん、それにしてもあの林から、洋館まではどのくらいあるの?」
「はあ、だいたい三百メ去毪椁い坤人激い蓼工堡欷伞⒌坤亭颓盲皮い蓼工椤!本距離だと、百メ去毪椁い扦悉胜い扦筏绀Δ
「それじゃ、もうソロソロいきつきそうなものだが……あ、ここに鉄ばしごがついている」
 どうやら、抜け穴の終点にきたらしい。さっきとおなじように縦穴がついていて、そこに一すじの鉄ばしごがかかっている。そして、穴の上から明るい光が……。
「文彦くん、気をつけたまえ。抜け穴の外になにが待ちかまえているかわからんからね」
「はい!」
 金田一耕助がまず鉄ばしごに手をかけた。一步おくれて文彦もあとにつづく。と、そのときだった。上のほうから聞こえてきたのは、きぬをさくようなあやしい悲鳴。それにつづいてドタバタと、床をふみぬくようなはげしい足音、その足音にまじって聞こえるのは、チャリン、チャリンと金属のふれあう物音。……それこそ、あの西洋よろいの身動きをする音ではないか。

     黄金と炭素

 金田一耕助はそれを聞くと、サルのように鉄ばしごをのぼっていった。
 縦穴を出ると、そこにはたたみが三畳しけるくらいの、せまい板の間になっていたが、壁のいっぽうが大きくひらいて、そこから隣のへやの光がパッと、さしこんでいるのだ。
 と、見ればそのへやのなかでもみあう二つの影、ひとりはさっきの西洋よろいなのだが、もうひとりは|筋《きん》|骨《こつ》たくましい大男である。
 大男はいましも西洋よろいをいすに押しつけ、縄でぐるぐるしばっているところだった。西洋よろいはもう抵抗する勇気もうせたか、ぐったりとして、相手のなすがままにまかせている。金田一耕助はそれを見ると、
「なにをする!」
 叫ぶとともにへやのなかへおどりこんだが、この声に、ハッとふりかえった大男は、金田一耕助のすがたを見るとにわかにかたわらのテ芝毪紊悉摔ⅳ盲俊毳辚氓去毪椁い韦婴螭蚴证摔趣辍ⅳ悉盲筏趣肖辘送钉菠膜堡俊
 びんは暖炉の角にあたって、木っぱみじんにくだけるとともに、なかからパッととび散ったのはなにやらえたいの知れぬし勰
 金田一耕助はたくみにその下をかいくぐると、
「なにをする!」
 ふたたび叫んで、手にした懐中電燈を相手にたたきつけた。
 相手もしかし、たくみにそれをさけると、猛然として耕助におどりかかってきたが、いや、その力の強いこと。耕助探偵はたちまち床の上に押し倒され、おまけにぐいぐいのどをしめつけられ、いまにも気が遠くなりそうになったが、そのとき抜け穴からとびだしてきたのが文彦である。このありさまを見ると、ポケットにあった黄金の小箱を、とっさのつぶてとして、はっしとばかりに大男にぶっつけた。
 おどろいたのは大男だった。ギョッとしたように金田一耕助からはなれると、こちらにむかって身がまえたが、そのとたん、文彦もおどろいたが、相手のおどろきはそれよりもっとひどかった。
「ア、ア、ア、ア、ア……」
 ああ、それは口のきけない牛丸青年ではないか。牛丸青年はしばらく、文彦と金田一耕助を見くらべていたが、
「ア、ア、ア、ア、ア……」
 ふたたび奇妙な叫びをあげると、だっと[#「だっと」に傍点]のごとくへやからとびだしていった。そして、そのまま、家の外へ逃げだしてしまったのだ。
「やれやれ、おかげで助かった。もう少しでしめ殺されるところだったよ。おや?」
 床の上に起きなおった金田一耕助が、ふと目をとめたのは黄金の小箱である。
「文彦くん、いま投げつけたのはこれかい」
「はい」
「きみはどうしてこんなものを持っているの」
 文彦が返事をためらっているのを、あやしむようにながめながら、
「こりゃ、たいしたものだね。本物の金だよ。おや、この箱にも|七《しっ》|宝《ぽう》で、トランプのダイヤのもようがちりばめてあるね。ダイヤのあざにダイヤのキング、そしてこの小箱にもダイヤのもよう[#「もよう」に傍点]……」
 金田一耕助はふしぎそうにつぶやきながら、へやのなかを見まわして、
「文彦くん、このへやに見覚えがある?」
「あります。大野老人の客間なんです。そして、そこんとこに西洋のよろいが立っていたんです」
「アッ、西洋のよろいといえば……」
 気がついてふりかえると、西洋よろいはいすになかばしばられたまま、ぐったりとしている。どうやら気を失っているようすである。
「おい、しっかりしろ!」
 金田一耕助と文彦は、つかつかとそばへ近寄り、かぶとをぬがせてやったが、そのとたん、ふたりとも思わず床からとびあがった。なんと、よろいのなかにいる人物は、文彦とおなじ年ごろの少年ではないか。
「先生、こ、これは……」
「ふむ、こいつは意外だ。こいつがこんな子どもとは……とにかく、縄をといて、よろいをぬがせてやりたまえ」
 ふたりは大急ぎで少年の縄をとき、よろいをぬがせてやったが、そのとたん、文彦はまたもや床からとびあがったのだった。
「ど、ど、どうした文彦くん」
「先生、こ、これを……」
 文彦の指さしたのは、怪少年の右腕の内側だったが、なんとそこには文彦の、左腕にあるのとおなじ、ダイヤがたのあざが、うすモモ色にうかびあがっているではないか。
「ああ、ダイヤ……ここにもダイヤ……」
 金田一耕助はくいいるように、その小さなあざをながめていたが、やがてハッと目をかがやかせると、暖炉のそばへ近寄って、一つまみの粉末をつまみあげた。それはさっき牛丸青年が投げつけた、びんのなかからとび散った粉末なのだ。
 金田一耕助はその粉末を、くいいるように見つめていたが、やがて大きく息をはずませると、
「文彦くん、き、き、きみには、こ、これがなんだかわかるかい。こ、これは炭だよ。し、しかも、純粋な、なんのまざり気もない、炭素なんだよ」
 金田一耕助は興奮にふるえる声でそういうと、まるでふかいふかいふちでものぞくような目の色をして、ジッと考えこんでしまった。

     ふしぎな機械

「先生、この子はだれでしょう。どうしてよろいのなかにかくれていたんでしょう?」
「わからない。それはぼくにもわからない。とにかく、気を失っているようだから、そのソファ饲蓼护皮い啤荬膜韦虼膜长趣摔筏瑜Δ袱悚胜い
 金田一耕助はおちついていた。いや、おちついているというよりも、なにかほかのことに、頭をなやましているらしいのだ。
「文彦くん、きみはこの家の地下室から、奇妙な音が聞こえてきたといったね。ひとつ、それを眨伽皮撙瑜Δ袱悚胜い
「先生、だいじょうぶでしょうか」
「だいじょうぶだよ。きみもきたまえ」
 金田一耕助は怪少年のからだを、ソファ紊悉饲蓼护毪取⑽难澶趣趣猡摔丐浃虺訾俊¥饯欷摔筏皮狻⒗先摔湎愦婴悉嗓Δ筏郡韦坤恧Α<窑韦胜摔悉ⅳⅳ取㈦姛簸膜い皮い毪趣いΔ韦恕ⅳ嗓长摔馊擞挨弦姢à胜い韦扦ⅳ搿
「先生、この家のひとたちは、いったい、どこへいったんでしょう?」
「逃げだしたんだよ。ダイヤのキングにおどかされて、どこかへ逃げてしまったんだ」
 ふたりは家のなかをさがしまわったが、さいごに階段のそばまでくると、金田一耕助がふと立ちどまって、
「おや、こんなところに押しボタンが……」
 なるほど、見れば階段のあがりぐちの手すりのかげに、よびりんの頭ぐらいの、小さな押しボタンがついている。金田一耕助がためしにそれを押してみると、目のまえの杉戸が、だしぬけに大きく回転して、そのあとにはまっ暗な穴。そして、その穴のなかには、地下室へおりていく、コンクリ趣坞A段がついているではないか。
 金田一耕助はたもとから、懐中電燈をとりだすと、文彦をしたがえて、用心ぶかく、その階段をおりていった。プ螭趣摔Ε婴丹い摔ぁ¥栅郡辘韦筏氦首阋簸丹à狻ⅳ证撙摔ⅳ郡辘摔长坤蓼工搿
 やがて、文彦の足は、かたいゆか[#「ゆか」に傍点]にさわった。金田一耕助は、しばらく壁の上をさぐっていたが、やがて、スイッチをひねって、パッと電燈をつけた。青白い|蛍《けい》|光《こう》|燈《とう》がくっきりとへやのようすを照らしだす。
 そこは十六畳ぐらいの地下室で、壁も床も天じょうも、まっ白にぬられていた。
 文彦は一目その地下室を見たとき、なんともいえぬみょうな気がした。
 へやのまんなかには、一メ去肓⒎饯椁い未螭丹巍ⅳ胜螭趣猡à郡い沃欷虣C械があるのだ。鉄の歯車やくさりが、ゴチャゴチャとからみあって、文彦がいままで、見たこともな
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